■ 記事の概要
今回は、芸大でデザインを学びながら、きょうげいB-LABOとしても活動している鳥井さんにお話を伺いました。
下京いきいき市民活動センターでの取り組みや、活動を通して考えたこと、今後などについて紹介します。
【プロフィール】
・名前:鳥井直輝
・所属:京都市立芸術大学デザイン科
3回生
きょうげいB-LABO代表
■地域活動を始めようと思ったきっかけ
鳥井さんは、今年10月のキャンパス移転がきっかけで下京区に関わるようになりました。出身も兵庫県で京都府にはほとんど馴染みがなく、全く新しい気持ちで下京区に来たそうです。
芸大の移転により、工事などを含めて地域は大きく変化します。この変化をきっかけとして、キャンパス移転も地域も盛り上げていきたい!という思いで地域活動を始められました。近隣の住民やこの地域で生活している人にとっては、芸大は親しみがなくて不安な気持ちだと思うからこそ、芸大のことも芸大生のことも、もっと知ってもらって期待を膨らませてほしいという願いがありました。
■学生目線で考える下京区の課題
芸大生としては、地域や社会と連携して、学内の制作活動をもっと外に出せる環境にしていきたいとのことです。旧キャンパスがあった場所は、住宅街で国道沿いでしたが、今は伝統産業もあり、近くには観光地もたくさんある環境に変わりました。新しい環境を生かしてもっと大学の学びを外に広げていきたいそうです。
■大学での学びと地域活動の関係
鳥井さんは、大学でデザインを学んでいます。デザインというと、目に見える形を作るものだと思われがちですが、人と人との関わりなど、目に見えないものもデザインの中に含まれます。近年では、デザインの意味や価値は社会的に広がっており、どんなことでもデザインであるということができる社会になりつつあります。そのデザインを社会に出た時にどう生かしていくのか?デザインとは何なのか?ということを考えているようでした。
地域活動を行う中では、地域や人との関わりの中のデザインを知ることができ、それが大学の学びにも生きているとのことでした。
■活動の反響
最初は一人で活動していましたが、鳥井さんの考えや活動に共感してくれる人が増え、今年度からプロジェクトとして主に芸大生と共に複数人で活動するようになりました。これは自分にとって大きな変化だったと語っています。一人だったら今も続けていたか分かりませんが、共感者がいるからこそ続けていけると話してくれました。
■地域活動から得たもの
地域活動では、学校で学べないことを学ぶことができます。地域活動は、大学とは違う実践の場であり、成し遂げたことが直接社会や人に影響を与えます。失敗すればその分責任も伴います。大学は守られた環境であり、失敗しても学校からのフォローが入るのに対して、地域活動で自分のことは自分で責任を持たなければなりません。怖さもありますが、それはある意味刺激ともなるとのことでした。自分が率先して取り組むことで、リアルな感想をもらうこともできるそうです。地域活動は社会の一員であるという自覚を持つことができ、不安もありながら楽しさも感じられます。
■自分の活動について
崇仁地区は、他の地域とは違う歴史を持っています。しかし、昔から京都に住む年配の方にとっては強い印象があっても、若者や京都出身ではない人、つまり、過去の京都を知らない人にとっては、さほど馴染みがないと感じている人もいるかもしれません。鳥井さんは、大学の移転はこの地域の歴史と共生することに意味があるのではないかと考えていました。
鳥井さんが興味を持っているのは、皮革・レザーを使った製品です。大学の前に、革製品を扱うお店があるそうです。これは地域ならではの魅力でもあり、その魅力を伝えていきたいと考えていました。お店はどんどん少なくなっていて、そのお店が最後の一店舗となりましたが、失われていく産業をこれからも繋げていきたいとのことでした。
また、皮革・レザーは過去の歴史とも根深い関係がありますが、鳥井さんは「ものづくりの素材としての皮革・レザー」に関心があると言っていました。メディアの取り上げ方によっては誤解されてしまいやすく、やりたいことと伝わり方のギャップがあると感じているようでした。誰にとっても誤解のない伝え方を工夫して気を付けているそうです。自分の活動の目的は一つではなく、色んな意味を含んでいると知ってほしいとのことでした。
■地域活動における目標
元々は、せっかく移転するならただ場所が変わったということではなく、地域の人との関係性を築いていきたい、芸大を不安に思うのではなく、歓迎してもらって、学外活動をしやすくすることが目標でした。これは移転が完了した現時点で、ある程度達成できたと感じているそうです。
今の目標は、地域活動をこれからも長く続けていくために、下京いきいき市民活動センターという活動拠点がなくなっても続けていけるように、プロジェクトのコンテンツや人間関係を含め、自立して今後に繋げられるようにしていくことだそうです。
■今後のキャリア
色んな環境や考え方の人と、話し合ったりしながら何かをやることが刺激になって楽しいと感じているそうです。将来は、たくさんの人と関わりながらデザインする仕事をして、地域活動は副業として長く続けていきたいと考えています。大学の学びも地域活動も全て仕事に活かして、自分の軸となるものをきちんと持ち続けたい!と語ってくれました。
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