こんにちは!学生スタッフの鎌田です。京都の夏を彩る祭といえば、私は「祇園祭」が思い浮かびますが、みなさんはどうでしょうか。

「祇園祭」は八坂神社の祭礼で、毎年7月1日~31日の約1か月間にわたって行われる長い祭で、期間中は約180万人が来場するそうです。特に宵々山と宵山では、多くの屋台が立ち並ぶ一方で、たくさんのごみで溢れかえっていました。そこで、露店で販売されるメニューにリユース食器を導入する取り組みのほか、ごみをそもそも減量する活動、資源の分別活動を通じたリサイクル活動を行っている「(一社)祇園祭ごみゼロ大作戦」理事長の太田航平(おおたこうへい)さんにお話しを伺いました。
■「祇園祭ごみゼロ大作戦」とは?
「祇園祭ごみゼロ大作戦」は、繰り返し何度も洗って使用できる「リユース食器」を露店等に導入し、ごみの減量と散乱ごみの防止を実施する日本最大級の取り組みです。 2014年から始まり、ごみの減量やまちの美化に大きな成果を上げています。 今年11回目となる祇園祭ごみゼロ大作戦では、共に活動を行うボランティアスタッフを募集しています。鉾町一帯にリユース食器の返却や資源の分別回収を行う拠点として「エコステーション」を複数設置し、国内外から訪れる来場者に対して、回収の呼びかけや散乱ごみ抑制に向けた清掃などを共に行います。
(参照:祇園祭ごみゼロ大作戦HP)
■実際、「祇園祭ごみゼロ大作戦」に参加してきました
当日、夕方に土砂降りの雨が降ったのですが、幸い活動中に雨に濡れるといったことはありませんでした。ボランティアスタッフのユニフォームです。ちなみにリーダーはえんじ色のユニフォームになります。

活動内容は、
① リユース食器の返却とごみの分別を呼びかけること
② 集積場へ満杯になったごみを運ぶこと
③ ごみの拾い歩き活動をすること
の3つです。私は当日、四条烏丸交差点付近で活動しました。
実際に参加してみて、集まったごみの量をみると、多くの人が祇園祭に来ていたことを実感します。ごみを集積場へ運んだ後、街中に落ちているごみを回収していきました。よく見られたのが、たばこの吸い殻や空き缶、プラスチックトレイなどです。淡々とごみを拾っていると、やや強面のお兄さんも一緒になって、ごみ拾ってくれました。その時は、「一緒に拾っていただきありがとうございます」と伝えましたが、後々、ボランティアの行動を見て、祇園祭に来てくれた人の意識が変化することは、とても意義のあることだと感じました。

■ごみゼロ大作戦代表の太田さんにお話しを伺いました。
(一社)祇園祭ごみゼロ大作戦 理事長 太田航平氏

プロフィール
・1980年東京生まれ。
・特定非営利法人 地域環境デザイン研究所ecotone 代表理事
・一般社団法人 祇園祭ごみゼロ大作戦 理事長 他
■祇園祭ごみゼロ大作戦のはじまり
「ごみゼロ大作戦」が発足する前の祇園祭宵山は歩行者天国終了後に、地域住民などが清掃を行っており、翌日の早朝までやっていた過去がありました。この問題を解決するべく、太田さんの所属するエコトーンで、事業を進めようと考えましたが、規模が大きすぎることから、企業や大学など、もちろん京都市にも声をかけて、テーブルについてもらい、2013年から実行委員会形式でスタートしました。当初は法人を持っていませんでした、次第に寄付が集まるようになり、お金の動きもあったことから、2017年に一般社団法人化されました。
■太田さんの問題意識
太田さんは大学時代、東京出身ということもあって、わくわくしながら初めて祇園祭を見に行ったそうです。しかし当時、街中にごみが散乱しているのを見て、ごみをなくすための仕組みについての問題意識がうまれたそうです。太田さんは「単純なことを言えば、提供する容器が使い捨てのものばかりだから、使い捨て容器以外で提供するしかない」と考えたものの、「みんなどうしてやらないのか?手間がかかる、コストがかかるなど理由があるけど、それを取り除いたサービスが世の中にない。選択肢として社会的に認識してもらえるような仕組みをつくったら検討してもらえますか?と、(事業者などに対して)1つ選択肢をつくりたかった」と話していただきました。ですが、祇園祭からスタートすることは、規模が大きいため難しかったそうで、最初は保育園のお祭りからスタートし、規模の小さいお祭りで実証実験をしたそうです。
■「行為に名前を付けるのではなく、モノに名前を付けた」リユース食器のネーミングについて
リユース食器について詳しく太田さんに聞いてみると、「使い捨て食器じゃない食器をリユース食器といっているだけで、(一般的に)家庭の食器はすべてリユースじゃない?使い捨てに対する容器を入れていることを分かりやすくするために、行為に名前を付けるのではなく、モノに名前を付けたんだよね。」と話してくださいました。その理由について太田さんは、「ごみを減らそうとかなくそうとか呼びかけても、マナー、モラルを訴えかけても人は動かないからね。モノに名前をつけることによって、捉え方が変わるのかなと、いろんな意味を込めて設計したんだよ。」と当時の思いを慮りました。


■「リーダーをすると人がガラッと変わる」ボランティアスタッフについて
ボランティアスタッフについて、太田さんは「いかに参加型で多くの人を巻き込んで、ごみや環境問題について考えてもらえるかを大事にしている」とお話しされました。そのうえで、リーダーの存在について太田さんは、「リーダーは約95%が学生で、問題意識を持って関わってくれるのは大きい。実際、1日1200人、2日併せて、2400人のボランティアスタッフをケアすることはとても難しく、事務局の私たちだけではカバーすることはできません。そこでリーダーに任せて、当日ボランティアスタッフをまとめ一緒に活動してもらうんです。」とお話しされました。実際に学生が社会人をコーディネートすることも多く、リーダーは4~5回ほどの研修会を実施するようです。また「ごみゼロ」に初めて参加するリーダーも中にはいて、当日ボランティアスタッフの方が参加回数を重ねているケースも少なくないそうです。そのことについて、太田さんは「例えば、リーダーがコミュニケーションベタで、それを改善したいと思って来ても、急に改善されるわけもないです。でも、そこでやり切ったとか、課題はあったけれども、支えられたっていうのは、今後の人生において、すごく大きな経験になります。やっぱり、リーダーを経験すると、ガラッと人が変わるんだよね。」と学生は恐れることなく、リーダーを経験してほしいとお話しされました。

■祇園祭ごみゼロ大作戦の課題と今後の展望
祇園祭ごみゼロ大作戦」の今後の展望と課題について伺いました。まず今後の展望について、最終的には「ごみゼロ大作戦」なしでごみが出ないような祭りになっていることが1番の目標だとしたうえで、太田さんは「お祭りの関係するステークホルダー全体でごみや環境問題を考えないと解決しない。だから、より多くの人たちをいかに巻き込んで、みんなで考える機会を作るかっていうのが今後のテーマだと思う。」とお話しされました。
また現状の販売システムについて太田さんは、
「露店で飲食物を提供する時に、山ほどごみが出てきますよね。紙コップやプラごみとか売ったら売りっぱなしなわけで、ごみを出してない町内の人たちと露店商がごみ処理費用を負担しています。売ったら売りっぱなしなのは、イベントの話に限らず、日常生活においてもそうで、スーパーとかで販売されている肉や魚のトレイや、菓子の袋とかすべてメーカーが負担してないわけで、家庭ごみは我々の税金でごみを処理されていますよね。だから、ごみが出ないような販売の仕方が理想だけどね。そのごみをメーカーや小売は売っているつもりは、多分思っているだろうけど、消費者は気づいていなかったりするよね。そこまで配慮して商品サービスを提供する世の中になってもらいたいし、うちらはそれを選び取りたいっていう声を持ってあげるべきで、 そこにつなげていくために、「祇園祭ごみゼロ大作戦」のごみを減らす取り組みっていうのはどういう役割が持てるのか。今はイベント活動に留まっているけど、これをどう日常の中に、仕組みとしてね、落とし込んでいけるかが、祇園祭ごみゼロ大作戦としての大切なポイントだと思う。」と語っていただきました。実際に「ごみゼロ大作戦」に携わった多くの学生や社会人が、日常の中でごみや環境問題について、何かしら意識していることがあると思われますし、今後の活躍に期待していきたいですね。
■取材を終えて
私自身、下京いきいき市民活動センタースタッフとしてはじめて取材させていただきました。「祇園祭ごみゼロ大作戦」の説明会や活動に参加して、より多くの人にごみ問題について知ってもらいたいと思ったのが、今回の記事投稿のきっかけでした。そこで何かしら情報発信というかたちで、太田さんのごみを減らす取り組みについての思いや学生リーダー主体のボランティアスタッフについてお伺いしたいと思い、記事作成にご協力していただきました。
太田さまには心から感謝いたします。本当にありがとうございました。
下京いきいき市民活動センター 鎌田康暉
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