まちづくりとレジリエンス〜誰一人取り残さない     菊浜学区の取組〜【carré07掲載】


インタビュー|上村隆明さん(左)、梅川満さん(中)、竹田宏三さん(右)


 今回、「防災・福祉まちづくり」の取組を行う「菊浜学区」を取材させていただいた。菊浜学区は下京区の東部に位置し、鴨川と高瀬川が流れる情緒豊かな地域だ。お話を聞かせていただいたのは、菊浜連合会会長の梅川満さん、菊浜まちづくり推進委員会会長の竹田宏三さん、菊浜自主防災会会長の上村隆明さんの3人である。


住民によるまちづくりの取組

 まず、まちづくりの取組のきっかけを伺った。「平成25年の『時代祭』が大きなきっかけだった」と梅川さんは言う。『時代祭』は、市内の各学区が輪番制で行列の一部を担い、資金調達や人員確保をしなければならない。当時、菊浜学区には各種地域団体はあったものの、連合会がなかった。そこで連合会をつくって『時代祭』の役を果たせたことで、まちづくりに取り組もうという思いが強くなったと、梅川さんは言う。


防災の取組

 そうして始まったまちづくりの取組だが、竹田さんは当時を振り返って「最初から防災をテーマに掲げたわけではなかった。菊浜の歴史や魅力を発信することで、他の地域から来る人に住んでもらいたいという思いだった」と言う。まち歩きやワークショップを繰り返し、平成27年度に学区の魅力を集めた『菊浜トコとこマップ』を作製した。その際に、地域内に空き家が多いことに気が付いていったという。平成28年に新潟県で発生した大規模火災のニュースで、空き家が防災上の大きな課題になることも認識したそうだ。

 そこから防災の観点を加えた活動が展開され、学区の将来ビジョンである『住みずみ菊浜かるた三十帖』には、空き家問題や防災の考え方が多く取り入れられるようになった。また、もともと東山区の六原学区で行われていた、無名の路地に名称をつけて災害時に役立てる取組など、他の地域で行われていた先進的な事例も取り入れた。

▲菊浜トコとこマップ&住みずみ菊浜かるた


福祉の取組との融合

 そうした活動が認知され、平成29年から、京都市景観・まちづくりセンターや社会福祉協議会などと連携して、地域内の子ども・高齢者・障がいを抱える方といった要配慮者も安心して暮らせるまちづくりの取組が始まった。

 まち歩きのワークショップで車いすに乗った方や認知症の方への接し方を模擬体験したり、了承を得たうえで配慮が必要な方の情報を消防や警察と共有したりする取組も進んでいるそうだ。

 令和2年度には、これらの取組をまとめた『京都菊浜学区 防災福祉まちづくりプラン』を作製し、住民に全戸配布をおこなった。また、災害が起きた際の避難行動マニュアルや、避難所開設・運営をスムーズに行うための訓練なども積極的に行っている。


▲菊浜学区防災まちづくりマップ


取組を進めるうえでの課題

 防災の取組を始めると同時に、京都観光ブームの影響で、ゲストハウスや民泊が増えていったのもこの時期だ。竹田さんは「最初は空き家がきれいになるからいいな、と思っていたが、そのうちに数や規模が増え出した」と当時を振り返る。災害が起こった際に、旅行者をどう受け入れるかが問題だ。災害時の受入れ体制など、地域内のホテルと連携する取組を進めているが、「受け入れるのが当然」と言ってくれている宿泊施設もある一方で、ホテルの備品を汚したり、壊したりした時の責任の所在などで、うまく連携できない事例もあるという。

 また、菊浜学区には若いファミリー向けのマンション、学生が住めるようなワンルームマンションなども増えている。実際に災害が起きた時には、避難所運営などで若い人の力が必要になるときもある。そのため、マンションに住む若い人たちにも防災の取組を知ってもらいたいが、マンションの管理組合が町内会に入っていない場合、住人に地域の情報が届かないことも大きな課題だ。


若者への期待

 一方、菊浜学区のまちづくりの取組には、多くの若者の力が生かされている。高瀬川を清掃する際には、大学生をはじめとする多くの若者が参加したいと集まってくる。また久しく途絶えていた盆踊りも、地域外から来た若いお店の方が「是非やりたい!!」という声をあげてくれて、復活した事例もある。

 上村さんは言う。「地域外からの参加でもいいので、協力してくれる方は是非参加してほしい。そして、若い人同士で声を掛け合って参加してもらえるとありがたい。そうすれば、マンションに住んでいる若い人たちも出てきてくれるんじゃないか。そう思っています。」また、「これまでの住民の中には、新しい人が入ってきたときに警戒する気持ちがあったと思うが、それがちょっと変わってきた。お互いに受け入れる気持ちを持って接していければ、若い人が増えていく」と梅川さんも実感しているそうだ。

 地域に入って活動しようと思う若者にとって、オープンに受け入れてくださる環境ほどありがたいものはない。是非多くの若者に、誰一人取り残さない菊浜学区のまちづくりを体感してもらいたい。

 

梅川満

菊浜連合会会長  

 












竹田宏三

菊浜まちづくり推進委員会

菊浜社会福祉協議会

菊浜少年補導委員会







 




上村隆明

菊浜自主防災会会長

菊浜市政協力委員連絡協議会会長

菊浜高瀬川保勝会会長   

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