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まちのあつめやさん

更新日:5月10日





■ 記事の概要

今回は、落とし物や拾い物を集めて、展示活動などに取り組んでいる

「あつめやさん」のメンバーの前さんにお話を伺いました。


下京いきいき市民活動センターでの取り組みや

印象に残っているエピソード、今後などについて紹介します。

【プロフィール】 ■ 名前:前 瑞紀 ■ 経歴 制作展2019(2019)→ 紙屑屋さん(2021~)→ 銭湯(2021/8~2022/3)→ あつめやさん(2023)


■ 前さんが地域と関わるきっかけになったエピソード

 「特大どら焼き」という展示をしたのがきっかけです。特大どらやきを陶磁器作品の上に乗せて展示することを考えて制作をしました。会期中、毎日作品の上に乗せたどら焼きは終了時間の前にどら焼きを食べたい人を募集してみんなで食べ、片付けを手伝ってもらいました。

 陶磁器を専攻していた時は土の状態や湿度の調整などで制作場所から離れられず、特定の人としか関わることが無かったため、どら焼きの展示で色々な話が聞くことが出来たのが印象に残り、人と関わる作品に興味を持ちました。

 また、芸大の移転に伴い大学の授業で地域の話を聞いたり、イベントの開催場所の一部が移転先になったりと芸大の環境の変化もありました。移転先の地域で活動している先生も多く時代背景などを授業で聞くことが多かったです。 

 移転に伴い地域で制作展を開催することとなった際に展示場所の1つだった下京いきセンでの展示がきっかけで地域と関わるようになりました。













「特大どらやき展示」の作品と前さん











「特大どらやき展示」の作品       

■ 地域の方の反応

 最初は地域の方との関わり方をどうしていいか分からなかったですが、地域の方から銭湯の使い方や地域のことを教えてもらったり、親切にしてもらったりして、話を聞きに行くのが楽しくなりました。自分から話を聞きに行くのに最初は勇気がいりましたが、地域のおばあちゃんから色々気にかけてくださって関わりやすかったです。自分から話を聞きに行くときは挨拶をしたり、質問してみたりすると関わりやすいことが分かりました。

 サロンで活動している「かもちゃんクラブ」やセンター近くにある喫茶アミーさんなど制作に協力してくれる方が多かったです。

話のなかで銭湯が無くなることなどを聞いて、展示をする「場所」で何を展示したらいいのか考えるようになりました。


■ 地域×アートについて

 私は地域の人に話を聞くことが楽しかったので、話を聞くためのツールのようなものとして作品を制作しています。

 尼崎で紙屑屋さんの展示をした時は、通りがかった人にいらない紙屑を持っていないか聞きながら駅前の噴水に毎週集まるおじいちゃんから話を聞いたりケーナの演奏を聞いたりしました。

 子供には折り紙のおり方を教えてもらったり、たくさん話したいおじいちゃんには聞ける限り話を聞いたりして人によって質問を変えることを意識しました。

 話を聞くタイミングや場所、話の流れによって質問を変えるなど臨機応変に対応する事が大切だと感じました。話を聞きに行き始めたころは緊張していましたが、話を聞きに行くうちに緊張より聞きに行きたい気持ちが勝るようになりました。


 陶磁器専攻の時は土の状況や素材に合わせて作業の仕方を変えていたけど、色々な人に話を聞くようになってから話の聞き方・タイミングを変えるようになりました。陶磁器のこと以外にも教えてもらえることが増え、次の制作や私生活でやりたいことがたくさん見つかりました。あつめやさんでレシピを教えてもらうようになったのも以前、晩ごはんに何を食べるかを質問する制作をしていた時に、料理のレシピを教えてもらったことがきっかけです。

 また、制作活動をする中で新しく制作活動ができる場所を教えていただけることもありました。

 今でもどういう風に地域の人と関わっていいか考えながら制作を続けていますが、そこにいる人や場所によっていろんな制作ができるのが面白いです。自分と地域の人だけでなく地域の方同士の繋がりを見て勉強できるのも面白いです。


紙屑屋さんの様子


■ 地域活動で大切なこと

 自分がやりたいことと地域の人も楽しめるかもしれないことの両方をやることです。最初、両方は難しいかもと思っていましたが、やってみたら楽しく、出来ることの幅が広がりました。地域の方も一緒に楽しめる自分も話を聞きやすいし、教えてもらえることも増えました。やりたいことを「場所」「人」に応じて自由に変えいったり、いろいろな人に協力してもらえる環境だったので話の聞き方など勉強しながら、これまであまり知らなかったことにも興味を持つようになりました。


あつめやさん屋台


■ 地域×アートのおすすめポイント

 おすすめのお好み焼き屋さん、地域の人にとって銭湯がどういう場だったか、地域の人の日常生活など一見制作活動と関係なさそうなことも教えてもらって知ることができ、後々の制作に繋がったりするところです。陶磁器の制作だけだと釣りの仕方や地域の農産物、レシピなどを知ることはできなかったです。陶磁器を作成している時はただ完成させることだけが制作だと思っていましたが、今は地域に出かけて制作の過程で色々なことを教えてもらえたり、できるようになることが楽しいです。


あつめやさんメンバーとセンター長


■ 今年いきセンで展示した「あつめやさん」について

 市立芸大が10月に下京いきセンの近くに移転するのに合わせ、今まで大学があった沓掛から移転先の下京までを歩き、途中見つけた落し物やまちの人との会話を集めいきセンで展示をしました。展示期間中は牛乳パックを捨てに来た親子やマジック会の人、道路の調査をしている人などが展示を見に来てくれました。見に来てくれた人の中には冷凍トマトのレシピを見て「私はこういう食べ方をしている」とアレンジレシピを書いてくれたり、牛乳パックの女の子は落ちているものを拾うのが好きで、時々近くで拾ったものを持ってきてくれたりしました。マジックの人にはマジックを教えてもらいました。


あつめやさんメンバー


■ 今後取り組みたいこと

 今後はいきセンにある忘れ物を紹介する「忘れもの新聞」を作成して、忘れ物についての話を集めていきたいと思います。

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